淡い色

湖は茫として水も空も見えず 白さだけが辺りを覆っていた きれいだねと口にしてみると きれいねという声が聞こえてくる 連れ出してもらったことへの感謝なのか ほんとうにきれいだと思ったのか なにも見えないけれど 吹きすさぶ風は寒くはなかった 帰ろうかって聞いてみたら もう少しだけいようと言う きれいだって思ったけれど 好きだとは口にできない 日常から少しだけ離れてみて 味わった小さな自由は たいしたことのないものかもしれないけれど とてもとても暖かかった 自由がしあわせなのだと 勘違いしていたころに 見た夢は 淡い